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87) 夢の途中
2009-02-27 Fri 17:33
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86) 恋絵巻 からの続きです





新宿の街に聳える摩天楼

天に届きそうな バベルの塔

その建造物のポケットに

集い蠢く人たちがいる


何を望んで この場所に

何を目指して この道に

何を好んで この位置に


夢に散る者 咲かす者

摩天楼を見上げる先の

夢の先のまた夢の先



もやのかかったビル群の狭間

目は開いていても

それは まだ 夢の途中








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「ただいま」
「お帰り一也 お疲れ」

2本目を終えて 事務所に戻った時
23時を過ぎており 事務所待機は1人も居なかった
週刊誌のグラビアのページを開いてる誠二さんに
店の分の12000円を渡す

「部屋待機で誰か居ますか?」
「先ほど全員上がったよ」

「じゃあ 今日は終わりですね」
「ですね 久々に行きますか?」

「どこへですか?」
「どこへでも(笑)」






誠二さんとの夜間飛行は久しぶりだ

24時に事務所の鍵を閉めエレベーターに乗る
蝶たちが残す夜の匂いが 狭い庫内に充満してた

「先ずは 腹ごしらえですね
 何が食べたいですか?」
「誠二さんの行きつけの焼き鳥屋なんかありますか?」

「焼き鳥かぁ ・・・」

エレベーターを出て 早速どこかに電話をしてる

誠二さんのネットワークは凄い
電話一本で何もかもが望みどおり
サザンのアリーナ席もとったりするのだろうか

向かった先は区役所近くの焼き鳥屋
地下にあるせいで 煙が階段を上がってくる
レトロな感じの店だった

「行きつけってわけじゃないんですけど
 ここがおススメらしいんで」



スーツ姿の客層の目立つカウンターだけの店
通路が狭く 座った客の背中に手でもかけないと
目的地にたどり着けないほどだ

「焼き鳥屋来るのって久しぶりだなぁ」
「誠二さん ビール飲みたくなりますよね
 お酒断ってるのにすみません」

「へっちゃらですよ そんなヤワじゃないですから
 焼き鳥なんかの誘惑じゃあ負けませんよ」
「ウーロン茶2つください」

運ばれたウーロン茶で乾杯する

「いやぁ 一也のお陰で 店は順調です」
「軌道に乗りましたね 本当良かったです」
 在籍も20名を超えましたね」

「最初からは全然想像もできませんでしたね」
「本当ですね 誠二さんご苦労様です」

好転時は全てのことが巧くいく
働く者の懐が潤い 店も潤う
予想以上に快調だった先月の勢いが
今月に入って更に売上げを伸ばしそうだ

ギャルソン第1号の客 後藤
明日 京都から一週間の出張で来る事が決まっている
店にとってのドル箱だ
滞在する期間欠かさず誰かしらを指名してくれる




「明日から後藤さんが来ますね」
「あっ! 忘れてた
 後藤さんから 一也の誕生日に指名貰ってた」

「えっ? 後藤さんに誕生日教えてないですよ」
「俺が教えておきました あと東堂さんと丸山さんにも」

「・・・」







笑顔で平然と言ってのける誠二さんを怒れない

誕生日はキャバクラでもホストクラブでも
働く者にとっての年に一度の大イベントだ

普段の指名が2~3本でも
誕生日だけは2桁いくのは当たり前
その主役の気合の入った営業で店は潤う

オンナを100人抱えるキャバクラならば
年に100回はこのイベントがあることになる

売上げ倍増の回数を減らしたくない為
同月同日の誕生日が複数いる場合には
誕生日をズレさせて 偽の誕生日として営業をかける

それに踊らされ店を訪れる札束(客)たちは
偽の誕生日とは知らず
テーブルにシャンパンやワインを並べる

不思議でもなんでもない
夜の商売(しごと)のお約束だ

高価な生花で店の入り口を飾り立て
その花の量が主役のステータスとなる

見た目が貧相にならぬよう 主役自信が自腹を切り
架空の名前で贈られたように小細工をし
生花を並べ立て虚偽に染まった優越感に浸る










出張(ギャルソン)でバースデーイベントを仕組むとは


さすが誠二さんはノンケさんですね 困ったもんです


バースデーイベント組まなくても 指名はとれてる


それに 1日に二桁は体力的に絶対無理です


更にもうひとつ




誕生日には仕事休みたい










「あと 誰かに連絡しますか?」
「いやっ 三人で十分です(汗)」

誠二さんが手羽先の骨をバラすのを見て
手羽先と同じようにバラされてる気がした

「ここの手羽先美味いなぁ 追加頼みますか?」

焼き鳥の煙も手伝い めまいがした





ウーロン茶を4~5杯飲んで
串の数は二人で50本を越していた

「さてと 一也 次はサウナに行きましょう」

今日は誠二さんとの夜間飛行です

どこまでもお供しますよ




  

























ギャルソンOPEN前夜に誠二さんと2人できたことのあるサウナ
土地柄 刺青を断らない希少な場所

天昇る龍の画を見るのも久しぶりだった

「誠二さん この傷は?」
「どれですか?」

線上に並ぶ傷の瘡蓋らしき痕を指でなぞって教えた

「あぁ それアイツです 美咲ですよ
 あいつ最近 やたらと爪を立てるんですよ」

こっちが照れた
美咲さんの顔を知ってるだけに想像すると生々しい

龍の背中に爪を立てるとは

美咲さん さすがヤクザのオンナです






他にも絵持ちが数人いたが
誠二さんの龍は一際目立つ

迫力があるというか
威光があるというか
彫りに遠慮がないというか
誠二さんの体格が良すぎるせいもあるだろう

だが 俺の目には 
その龍が どこか哀しげに映る




「♪小倉~生ま~れで玄海育ち~」

髪を洗いながら 無法松の一生を口ずさんでる
以前にも この場所に来るとこの唄ばかりを口ずさむと言っていた

石鹸を泡立てながら 誠二さんの唄に聴き浸る




「背中 流しますね」
「はいよ」

背中の絵を 消すように力強く擦るが
皮下細胞に刺された墨が
落ちようはずもない



〔 落ちないねぇ落ちないねぇ 〕




〔 お前の父~ちゃ~ん ヤ~ク~ザ~ 〕




〔 お前の父ちゃん 暴~力~団 〕









俺の父親もヤクザ










































未成年だった頃に
街中(まちなか)での集団争い つまり喧嘩で
深夜に根こそぎ 警察に補導されたことがあった

喧嘩両成敗となり 大事件とはいたらなかったが
保護者が迎えに来ないと帰しては貰えない

母親が迎えに来るのを待ってた俺は
父親が迎えに来た事にずいぶん驚かされた

二度の離婚をして 姿を消していたクソ親父
保護者面して迎えに来た

署内に入ってきたクソ親父に向かって
警察官や刑事さんがこう言った

「なんやぁ あんたの息子やったんなぁ」







クソ親父が以前警察に世話になったのかどうかは知らないが
応え方が気にいらない

「おうよ ワシの立派な息子よねぇ」










〔 ワシの息子 〕




オマエなんかの息子であることを 呪う


このクソは

俺の母親を二人不幸にした


母親の流した涙を見て

俺も涙を流した



全て お前のせいで




















父親に家まで送ってもらう車中

「母親に心配かけるような事するな」
「・・・」

てめぇにだけは言われたくねぇよ

「大きくなったな」
「・・・」

親はなくとも ってやつだ

「高校 辞めたんだって?」
「・・・」

大きなお世話だ

「口がきけないのか?」








こいつ 本当に ムカつく








「俺の金 返せよ
 通帳と印鑑持って出ていっただろうが
 60万 返してくれよ」







車は路肩に停められ 運転席から睨まれる

殴られるのかと思ったが 意外な言葉が返ってきた

「返してやる」




背広の内ポケットから財布を出し
中を見るように言われ
ダンヒルの長財布を開けてみると
中には千円札が一枚だけだった

金が無いことを証明したいのか 情けない


「中に車券が入ってるだろう」


言ったとおり中には車券が入っていた
5万円分の枠連単(連勝単式)だ

車券とは競輪で言う投票券
競馬でいうところの馬券のこと


「4千円以上ついた お前にやる」


4千円の配当がついたということは
5万買ってれば配当金は2百万!


「財布は返せ」





手に握った車券を残し

財布と車は去って行った

補導されたことに関して怒るでもなく

自分の現況を話すわけでもなく

反抗期真っ盛りの俺に

財布に一枚の千円札だけを残し

2百万の当たり車券をポンとよこしてくれた

羽振りがいいのか 余裕があるのか

呆気にとられたが

頭の中では 何を買うか そればかりを考えていた









翌日 早速車券を現金に換えるべく
競輪場へと足を運んだが
車券は現金にはならなかった













当たってなどいないハズレ車券だった















ボンクラな親父の芝居に

まんまといっぱい食わされた












この時 不思議と 怒りは感じなかった










父親の存在をどこか消せずにいた俺は










この一件でやっと 消す事ができたのだ









恨みとか 憎しみとか









労力を遣う 価値の無さに 気づかされた








細かく契られた車券は







父親の存在と共に宙に舞う














































小学生の低学年 夏休みに町内会の催しで海水浴に行った
保護者として同伴した父親の肩には般若の刺青

翌日から 俺は近所の子らの集中砲火を受けた

刺青なんか珍しくも何ともない
周囲にはたくさん絵持ちがいた
子供の俺にとっての普通だった景色は
周りには特殊な景色だったのだ

戦後 高度成長を遂げ
豊かになったことで

戦争などなかった
貧しくなんかなかった
何事もなかったんだ



世間体を気にし ネクタイを締め
お洋服を着飾る 臆病な猫たちは
ヤクザもんを拒絶する

そんな親たちが 子供に吹き込んだのだ
ヤクザという言葉 暴力団という言葉を 

低学年の子供が 普段口にしない言葉は
焼夷弾のように 空から降ってくる

あそこの家の子はヤクザの子供だから近寄るな
あそこの家の子は暴力団の子だから遊ぶなと
実態を知らない者も イメージだけで対岸へと押しやる

ザマスたちは すました顔で 何も知らない子供を利用して家を探る
お父様はどんなお仕事をなさってるザマス?
隣人の不幸を喜ぶ餓鬼の姿だ

スーパーで買い物をしても
ゴミをスーパーの袋には入れず
デパートの紙袋に包んでゴミを出す 
そんな餓鬼たちは世間にわんさかいる
そして子供に知恵をつける


〔 お前の父~ちゃ~ん ヤ~ク~ザ~ 〕

〔 お前の父ちゃん 暴~力~団 〕






























大きな浴槽に浸かり
足を伸ばし天井に顔を向け目を閉じる
リラックスできるこの空間で 時が止まった

毎日がとても目まぐるしくて
毎日がとても速い
ノンストップの特急にでも乗ってるようだ

頭の整理もココロの整理もつかぬまま

次々と停車駅は車窓を通過する


ツヨシとの曖昧な関係と


宮里との不確かな関係





俺は





ツヨシの前で 雄になり












宮里の前で 雌になる














「一也 マッサージでもしますか」
「いいですね」

マッサージを客にしてやることはあっても
自分がやってもらうのは 久しぶりだ 
体をほぐしてくれる手が 心地いい

何もかも 忘れさせてくれる


















心地よさのなか すっかり寝てしまっていて
目が覚めた時には 隣のマットにいた誠二さんの姿はなかった

「隣にいた人は?」
「お連れさんは 先ほど浴室に戻られましたよ
 お客様がスヤスヤお休みでしたので そのままでって」

浴室に行って誠二さんを探すが姿は見当たらない
サウナ室の中にも居ない

先に出たのかを確認する為
フロントに行こうと喫茶室を横切る

「おーい 一也」

名前を呼ぶ方向へ顔を向けると誠二さんがいた
が 名を呼んだのは誠二さんではなく
押尾だった

「押尾さん こんばんわ」
「おう 目が覚めたか」

「はい 気持ちよくて寝てしまってました」
「わははっ 疲れとるんやろ しゃあないわ稼ぎ頭やからの」

「飯は食ったのか?」
「はい 先ほど誠二さんと食べました」

「じゃあ何か飲め」
「じゃあ コーラいただきます」

ガウンを着てる押尾の胸に墨が見えた

「兄貴も偶然サウナに来てたんですよ」
「そうでしたか」

「お前らが来とるとは思わなんだ」
「久しぶりに一也と二人で飯でもと」

「そうか そうか 大事にしたれよ」
「誠二さんには よくしていただいてます
 甘えさせてもらってばかりで」

「おぉ甘えろ甘えろ そのうち車も買ってもらえ」

押尾と久々に再会した喫茶室で
笑いを真ん中において三人で談話した








「兄貴はこのままここでお休みですか?」
「それがうかうか寝てられんのや」

「と 言うと?」

会話の内容があっちの様相を浮かべだす
この場から去った方がいいのではないかと頭を過ぎる

赤坂や 凹んどる」
「今は誰が?」

「鴇田や」
「鴇さんなら 巻くでしょう」

「ほうなら えぇけどな」

沈黙が続く

俺がいる手前 話したい事も話せないのだろうと
気を利かせ トイレへ立とうとした

「今から一也を貸せ」
「えっ!?」
「えっ!?」



「少し打たせてみる」




































































































88) 麻雀 ~牌の音の中で~ 】 へ続く


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この記事のコメント
おやっさん
ん~ 勝負運は強いからね!
昔とった杵柄だっけ?
なんとか やっちゃうんかなw
2009-03-11 Wed 21:26 | URL | たく☆ #-[ 内容変更]
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