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13) 死にゆく純心 生まれくる邪心
2007-04-21 Sat 04:34
GBr
12) 聖地新宿 からの続きです





産室で 天に向け
金管楽器のような音色を
高らかに奏でた瞬間から

汚染は始まっている

空気と水を必要とするが
そのどちらも毒されている

毒と知りつつ体に取り入れるしか
生きていく術はなく

骨組みからボルトにいたるまで
金属という金属は腐食する






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俺は生まれて初めて心を利用した

利用したのは

山室の持っていた 俺への好意

今こうして 山室のアパートで目を覚ます事は
テレビで男性歌手らの間でピアスが流行っていた
ビリヤードがブームだったあの頃から
既にシナリオは出来ていた

高校を辞め 働いたプールバー
男性歌手らに流行したピアス
その流行に感化されて あけたピアス
ゲイサインと知らずに選んだ右耳

その右耳に開けたピアスでかけられた嫌疑
嫌疑をかけられたことにより発せられた
ゲイでもファンだという山室の言葉
  
そして山室の 東京への就職
来ることがあればと渡された 電話番号
憧れ目指した地 新宿

ひとつでも欠けると

完成しないパズルは

完成した

憧れの地 新宿に 独り足を踏み入れ

高鳴る期待 受け入れ難い現実

死んでいく純心 生まれくる邪心

パズルが完成した時の魂 21
















テーブルの上に用意されていた ハムエッグをチンした
涙が出そうになった
二日振りの食事だった

昨夜 三年振りの突然の連絡にも関わらず
彼女は驚きもせず まるで約束でもしてたかのように
俺を部屋に招いてくれた

部屋に到着した俺に
彼女はたった三つの質問しかしなかった

「いつ東京に?」
「どこか泊まるあてはあるの?」
「荷物はこれだけ?」

捨て猫を包みこむような 優しい質問だった

部屋までの道順を説明してくれ 電話を切った後
俺がチャイムを鳴らすまでの一時間で
彼女は返ってくるコタエを 大方察していたようだった

シャワーを浴び終えた俺に
大き過ぎるとの理由で未開封のままのTシャツと
少し小さめのスエットのパンツを貸してくれた

着替え終えた俺を 細めた目で見た山室は

「パンツ やっぱ小さかったね(笑)」

と 口に手をやり楽しそうに笑った

ワンルームの山室の部屋にベッドは一つしかなかった

「いいの?一緒に寝て?」

俺が気を遣って質問すると
山室は照れ笑いしながら言った

「大丈夫! 襲わないから(笑)」

何だか会話がアベコベな気がした

ベッドは狭くも深く暖かい空間だった
彼女は俺の左手を抱え込み
肩にちょこんと額をつけて眠りについた

山室の部屋に初めて訪れた夜

17の時の自分とリンクした


















山室は置き手紙にあった通り
19時になると仕事から戻ってきた
思えば 彼女について 何も知らなかった

正確に言うと知ろうとしなかった
店に来ていた当時 服飾の専門学校に通っている事以外
本当に 何も知らなかった

入れてもらったココアを飲みながら
彼女の現況を色々と教えてもらった

服飾関係の職に一時は就いたものの
今は建築デザイナーの助手をしている事
休みの日は一日中部屋でゴロゴロしている事
付き合って一年になる 年上の彼氏がいる事
部屋をラブホ代わりにされるのが嫌で
彼氏を一度も部屋に入れた事が無い事

この時 彼女のガードの固さを知った
彼氏さえ入ったことのない部屋に
今こうして ここに座っていることを
率直に嬉しく感じた

「ウチなんかで良ければ
仕事も部屋も見つかるまで
遠慮しないで居ていいからね」

そう言って 彼女は今晩のメニューに選んだ
カレーの材料の買い出しに出掛けた

ドアがバタンと音を立てて閉まった
コツコツと足音が小さくなっていく
その音が小さくなるとともに
胸が騒いだ
じっとなどしていられなかった
衝動的にスエットを脱ぎGパンに履き替え
急いで廊下に飛び出した
階下を見下ろし 彼女の姿と歩いて行く方向を確認した
エレベーターが待てなかった
階段を駆け下りた
すっかり暗くなった保谷の夜の道を走りながら思った

彼女を何で独りで行かせたんだ
彼女に何かしてあげたい
彼女を喜ばせてあげたいと思った

抱いてくれている好意の心を
利用している自分に
ブレーキをかけたかった

彼女の気持ちを無下にせず
きちんと向き合おうと思った

走って追いつこうとする俺の姿に気付き
彼女は立ち止まってくれた

立ち止まって待ってくれてる彼女の姿を見て
足の動きは自然に緩まった

照れ臭いながらも 笑いかけ
肩を並べて歩いた






俺が持ってる右手のカゴに
玉葱や人参などが入ってくる

「飲み物何がいい?お酒今でも飲めないんだっけ!?
 冷蔵庫 ビールしか入ってないからね~」

と酒豪振りは健在だ

彼女は酔ってくると
決まって カウンターにいる俺に 

「月光仮面~ おかわり~」

と空いたグラスをガチャッと置いた

下戸と月光をかけてるらしぃ
このダジャレで笑うのは いつも言った本人だけだった

大体 第一印象が良くなかった

「何か好きなの飲んでくださ~い」

と勧めておいて
コーラやジンジャーエールを飲んでると

「え~っ!?お酒じゃないの~
 飲めないのに 何でプールバーで働いてんの~??」

と言われた時 殺意を抱いた・・・

そんな事を ひとり思い出しながら
右手のカゴは一杯になった

スーパーで買い物をしている二人は
どこから見ても恋人同士にしか映らなかっただろう














ある日の夜 部屋の中で
山室が電話しながら泣いていたことがあった

泣いていた原因は 彼氏との喧嘩らしかった
なぐさめるつもりで背中から彼女に手をかけた
その手を引っ張られ俺と彼女は横に倒れた

「ずっと好きだった 会えるなんて思ってなかった
 傍にいてくれるだけでいいから
 何もしなくていいから 抱きしめて欲しい」

俺がゲイだと認識してるのか不明な状況下
抱きしめてあげるだけでは済まないだろうなとも予測しながら
抱き合う二人は 予測どおり男女の関係になった

男女の関係は その日の一回だけだった
やはり 俺には欲求が起こらない 涌いてこないのだ
彼女も察してか それ以来誘ってはこなかった

ただ 寝るときの腕枕だけは毎日してあげていた













山室との同居が始まって 半年過ぎた

荷物は全て トラックの荷台に納まった
部屋内に 二人以外何も残っていな い事を確認し
運送屋は頭を下げ 車を板橋へと走らせた

ガランとした部屋は広く感じた
残った二人の会話は晴れ晴れしかった

板橋に越す彼女に礼を言うと
江東区の会社の寮に入る俺に
頑張るんだぞとエールを返してくれた

カーテンの外された窓からは
いつも二人で買い出しに行ってた
スーパーがみえた






14) 分岐点 】 へ続く

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この記事のコメント
旅立ちやね★
男女の関係って Hしたけど
立たなかったって ことやんね…
逝けなかったのかな
抱きしめることはできても 無理やもんね…
これまた 切ない… セピア色のはずやけど
イメージできるんだよ 追いかけるトコ や
振り返る彼女 二人だけの部屋 勝手な想像です★
2006-11-17 Fri 15:07 | URL | たく☆ #-[ 内容変更]
イメージ
惜しい!!

>男女の関係って Hしたけど
>立たなかったって ことやんね…

Hしたけどイかなかったが正解!

王子の描いたイメージ 俺にも見えた気がするw

G@TEN
2006-11-18 Sat 03:13 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
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