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06) 青天の霹靂
2007-02-22 Thu 17:39
GBr
05) 食卓の温度 からの続きです





独りで過ごす時間の使い方など 会得したくなどない

孤独を紛らす方法を覚えてしまうことで

人は孤独の道をどんどん進んでいくようになる



孤独に耐える能力を身につけても

そんなものは 何の役にも立ちはしない



ごまかしで 孤独は克服できない

孤独の先には 死しかない






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「浩史くん 無理に お母さんって呼ばなくていいんだからね」

「!?」

部屋で勉強をしてる振りをしている俺に おやつを運んでくれた女性が穏やかに言った

何も言葉が浮かばない 顔を見る事すら出来ない
見えるのは 目の前に運ばれたパンケーキと
牛乳の入ったカップを並べてる女性の手


何でそんな事言うんだよっ

被害者ぶって

俺が悪者かよ



























よそ行きの服を着せられ どこかに出かけるのだということだけは
子供の俺でも察することが出来た

父親は旅行をするのが大好きだった
福岡の太宰府天満宮 大分の別府温泉 鹿児島の桜島 熊本の水前寺公園
長崎のグラバー邸 宮崎のサボテン公園 熊本の山鹿温泉 佐賀の唐津と
沖縄を除く 九州・四国・中国地方は ほぼ制覇していた

ガレージから車を出した父親は「先に乗っていなさい」と言って俺を助手席に乗せた
後部座席には 何やら荷物が積み込まれていたが何の疑問も持たず
これからどこに遊びに連れて行ってもらえるのだろうかと
想像をあれこれと膨らませながら
お気に入りの超合金のおもちゃの手足を1人動かしていた

五分くらいして ようやく父親が運転席に座り
エンジンがかけられ車はゆっくりと動き出した
窓の外では 玄関先で母親が手を振っている 

僕は助手席の窓を下げて「お母さん 留守番するの?」と聞いてみた

出かける前いつも化粧をする母が 三面鏡の前に座らなかったのは
留守番をするからなんだと解釈したのだ

「お土産持って帰るからねぇ!」

窓から身を乗りだし 大きな声で言って手を振った
母親は手を振り返しながら 片手を口にあて 顔を歪めて泣いていた
僕はびっくりして 父親にその事を教えた

「お父さんっ お母さん泣いてたよっ!」

運転している横顔が こっちを見て一緒になって驚いてくれると思ったが
何の反応も返ってくることなく 助手席の窓をパワーウィンドウで閉められた

体を反転し 後ろを振り向くと 荷物の隙間から
道路の真ん中で手を振る母親の姿が 見えた
泣いてた理由も分らないまま 母の姿がどんどん小さくなっていった

小学4年への進級を控えていた この時


僕は


大好きな母親から


引き離された 






















春休みに起こった突然の出来事は

毎日一緒に遊んでいた友達や担任の先生にも

お別れを言う機会を与えて貰えなかった

そして

いきなり放り出された俺は

知らない顔の並ぶ教室の前で

転校生として頭をさげたのだった



毎日が戸惑いの連続で

学校での過ごし方も

お昼休みの遊び方も

何もかもが分からないでいる


学校から帰っても

慣れない家での過ごし方が

更に分らずに ただただ戸惑うばかりだった




















一年が過ぎた頃 毎日散歩をさせることを条件に
白い子犬を与えられた

友達も少なかった僕は 嬉しくて嬉しくて
学校が終わると 家へ走って帰るようになった

いつものように 夕方になると女性は夜の仕事へと出かけ
家で僕は1人で過ごす
家の壁と外塀の間で寝てるコロの姿が見えるよう
部屋の窓を開け放ち 習い始めた書道の練習をしていた
まだ小さいコロは少々の事では吠えたりはしないのに
その日は 珍しく塀に向かってワンと吠えた
自転車を手押しする時に聞こえる チェーンのカラカラという音が聞こえていた
通り過ぎるのだろうと耳を澄ませていると チェーンの音が部屋の前でピタッと止まったのだ
それに反応してコロが またワンと吠えたので
コロの名を呼び 吠えないように叱ると 塀の向こうから声がした

「浩史ちゃん」と名前を呼ばれたような気がしてびっくりした
外から部屋の窓枠に前足をかけるコロの頭を撫でながら
塀の向こうの暗闇に集中してると また声がした

「浩史ちゃん」

「!」

お母さんだっ! お母さんの声だっ!!
お母さんだ お母さんだ お母さんだ お母さんだ
玄関へと走り 急いで鍵を開け 靴も履かずに裸足で外に駆け出した
そこには 自転車を両手で支えてる お母さんが立っていた
お母さんは自転車のスタンドを立て

「浩史ちゃん 元気しとったね?」

そう言って僕に駆け寄り 強く抱きしめてくれた
お母さんの腕に抱かれ 胸に顔を埋めわんわん泣いた

お母さんは 何度も何度も「浩史ちゃん」と名前を呼んでくれ
「会いたかった 本当に会いたかった」と泣きながら僕を抱きしめてくれた

突然離された大好きなお母さんが
今 目の前にいて 抱きしめてくれている
夢のようだった 大好きなお母さんにやっと会えた
写真も何も持たされておらず 記憶でしか残ってなかった残像が
姿・形・色・声・匂い・質感・温度を肌で感じることが出来たのだ

多少の照れ臭さもあったが そんな感情を超越して
お母さんの胸に飛び込んだ

「毎日忘れたことはない」と「お前が可愛いばっかりでお母さん死に切れない」と話す母の一言一言が心に響き涙となって溢れ出す

コロが塀の中から 遊んで欲しいとク~ンク~ン鳴く声を聞いて
段々と落ち着きを取り戻し 声も出せるようになった

「浩史 元気にしてたん?」
「うん」

「新しい学校は 慣れたんね?」
「うん」

「お父さんは 優しくしてくれてるん?」
「うん」

「新しいお母さんは よくしてくれとるん?」
「うん」

時間がどれくらい経っただろう
お母さんは近所の目もあるから 今日はこれで帰るといって
自転車の後ろに僕を乗せて大きな交差点まで出た

「ここの道を真っ直ぐ行くと 前に通ってた小学校があるからね
 会いたくなったら いつでも来なさい タクシーに乗れば直ぐだから」

お父さんに見つからない所に隠しておくように言われ
家の鍵とお金を渡された 一万円札と母の家の鍵だ

頭を撫でられながら

 「今の新しいお母さんの言うことを ちゃんと聞くのよ」

そう言い残し お母さんは 自転車で帰って行った


今住んでる土地が前に住んでた場所と遠いのだろうと思っていたから
母の住む家まで 自転車で行き来出来る距離だと知って 元気が湧いた

お金と鍵を屋根裏に隠し 僕は何事もなかったように
静かに おとなしく 言うことを聞くようになった

コロもいる お母さんにもいつでも会える
その事が 学校生活にも影響し 次第に友達も増え
率先して友達の輪に入れるようになっていった

でも 家の中では 僕は無口な子供を演じていた


























「浩史くん 無理に お母さんって呼ばなくていいんだからね」

「!?」

部屋で勉強をしてる振りをしている俺に おやつを運んでくれた女性が穏やかに言った

何も言葉が浮かばない 顔を見る事すら出来ない

見えるのは 目の前に運ばれたパンケーキと牛乳の入ったカップを並べてる女性の手


何でそんな事言うんだよっ

被害者ぶって

俺が悪者かよ




勉強机に座るの俺の肩越しに

「浩史君 本当のお母さんに 会ってるんでしょ!?」



バレてる!?

知ってたのか?

俺が本当の母親に会いに行ってる事を

自転車を買って貰って以来 俺は日曜日の度に母親に会いに行っていた

「もうすぐ マンションに引越すから もっと(母親の家に)近くなるからね」

どういう意図で そんな話をしてるんだ?

「残念だけど コロは連れていけないから 本当のお母さんに預けたら?」











女性をようやく「お母さん」と呼べるようになって
一年後の中2の夏休みに 父親はまた離婚をし

俺は本当の母親の元で また一緒に暮らせるようになった 































【 07) 夏の終わり 】 へ続く 


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この記事のコメント
青天の霹靂 ~後記~
小学4年を控えた春休みに父と母が離婚をした

新しい環境で 俺が俺でなくなった時期があった

口数は減り 大人の顔色を伺うようになり
いい子でいることを良しとし
波風を立てないほうが利口だと考えるようになり
家庭の中で遠慮をし 気を遣う毎日

いい経験をしたなどとは 今だに思えない
世の離婚率を見ると 悲しくなってしまう

転校生というだけで 仲間として打ち解けるのは
相当に難しい いじめられないほうが希少だ

色々ないじめが存在しても
色眼鏡をとってもらえない事は非常に辛い
からかわれたりケンカをふっかけられたりすることは
存在を認めてられているからこそだ

存在を認めて貰えない 無視や無関心は
小学生の心には あまりに残酷だ

離婚は大人の事情なら それはそれでいい
離婚だけに限らず 転勤や引越しをしても
中学に進学するまでは どうか 
転校だけは させないで欲しいと
世の大人たち いや 社会にどうかお願いしたい

G@TEN
2007-02-22 Thu 17:41 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
誤解を恐れずに言えば
結婚したら、
もう「私」の人生じゃない。
「私たち」の人生であると腹に落としてほしい。

子どもが生まれたら、
先ずは子どものことを考えてほしい。

お母さんになったら、
子どもが高校を卒業するまでは家にいてほしい。

「私の人生」にこだわるなら、
結婚する前に決着つけてほしい。

添い遂げることで学ぶことは多いと思う。

自分の人生に決着つけられないなら、
結婚するのも、
子どもを産むのも、
百万年早いと思う。

どっちもやったことないので、
説得力が全然ないね・・・・。
2007-02-23 Fri 01:35 | URL | バシ #-[ 内容変更]
小学4年生の記憶なんて さほど 残ってないなぁ~!
微かな断片 もしかしたら記憶ではなく 勝手な想像かも…
でも 衝撃的な出来事は 不思議と 覚えてるもんやね
何も知らされずに 母親と 引き裂かれる辛さ 想像を絶します…
絶えられないです(泣) しかし それ以外の 障害 難題も 多かったんですね…
よくぞ よくぞ 耐えましたね☆ 頑張りました☆
中学2年の夏に 実母に 戻され 実際良かったのか まだ 解りませんが
でも 現段階では 良かったね☆ と 思う気持ちで いっぱいです!
胸が きゅぅ~って なります 苦しくなりますね
2007-02-23 Fri 15:21 | URL | たく☆ #-[ 内容変更]
To.バシさん
バシさん
説得力 なくないです
俺も 同じ意見です

兄弟や親子が仲が悪くなるのは
お国の家庭事情とかシステムにある気がします

俺は良く 極論を言ってしまうので
今回も 聞き流して欲しいのですが

生んだ子供を 生んだ母親が育てなくてもいい世界に
なればいいと 俺は思ったりします

例えば 10人が病院で出産したら
自分が産んだ子供以外の 子供を選んで育てるみたいな

俺も 誤解を恐れずに もっと言ってしまうと

血筋やら血縁やらを とりはらってしまえ です

家系とか世継ぎとか 本当 うざい



私は犬が大好きですが

血統書のついてる犬を 飼う気は全くありません

そもそも 命(動物)の売買には同意できない俺です


G@TEN
2007-02-24 Sat 11:24 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
To.たく☆さん
たく☆さん

俺の記憶も細切れですよ
全てを忠実に再現はできませんけれど
その時に生まれた感情や 感じた思い
不思議と忘れませんよね
PCみたくDeleteキーで 消去できればいいんですが・・・

こういう記事書くと そこに自分がトリップしてしまってね
泣いて書くこと 実際多いんです

けど たく☆さん含めて 皆さんのコメントでね
伝えられていないかも知れませんが
俺はかなり救われています

楽しいことだけを 夢中で探して追いかけてる小4にね
よくもまぁ 残酷な仕打ちをしてくれちゃってねぇ
本当に 大人の事情は 理解不能です

大人になんか なりたくないです
成りだけは 大人になってますが・・・(笑)

G@TEN
2007-02-24 Sat 11:40 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
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