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07) 夏の終わり
2007-02-24 Sat 11:08
GBr
06) 青天の霹靂 からの続きです





溶けてしまえば 何ともないと思える氷が

何個も何個も 胸の中に 心の中に ある

どうやって 溶かせたのだろう?

確実に 何個かは溶けてるのに

その他の 氷の溶かし方が 分らないでいる

自分では 溶かせない氷を いくつも抱え

いつか 誰かに 溶かして貰うことを 

信じたり 願ったり 夢見たりして

僕達は 氷を抱えて 旅するんだね






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夏が終わりを迎えてることを 蝉の声が教えてくれる
クマゼミの鳴き声がしなくなり アブラゼミが鳴き始め
そしてツクツクボウシの泣き声が目立つようになる

8月の下旬 まだ陽射しの強い昼下がり
ツクツクボウシの鳴き声響く学校のプールで
清水と啓輔を含む俺達バレー部一年の5人は並んで必死に泳いだ
最下位になると 水着一枚でのランニングの罰が課せられるからだ

水着のまま校庭を疾走する姿を
陸上部やテニス部の連中も 練習の手を休め笑っている
先輩たちはフェンスに手をかけ 笑われてる光景を見て大笑いし
その大笑いにつられ 俺と清水も笑った

戻ってきた啓輔は そのまま勢い良くプールへ飛び込んだ
俺と清水もそれに続いて飛び込み 校庭で見せた勇姿を称えた
プールではしゃぎ 戯れる そんな時間が たまらなく楽しい

啓輔が 他校の生徒を刺した件は親同士の話し合いで
警察沙汰とはならずに示談となった
約一ヶ月に及んだ自宅謹慎が 夏休みの終わる一週間前に解除され
清水に次いで啓輔も入部したのだった
3人しかいなかった球拾い部員が5人になった

中塚さんはフェンス越しに 水着をずらし
女子バスケ部のキャプテンに半ケツを見せてふざけていた
フェンスの向こうで笑ってるのは 中塚さんの元彼女 久美さんだ
2人が縒りを戻したことで 中塚さんと一緒に帰る回数が減っていた






部室の脇で久美さんと中塚さんが楽しげに話す姿を見て俺は嫉妬した
土曜日の夜に遊んでくれてた中塚さんを盗られたように感じたからだ

俺に見せてくれた 誰も知らない中塚さんの顔は
今は久美さんのもの

いや元々が久美さんのものだったのだ  



女子バスケ部のキャプテン 久美さん
一言で言うと クールな女
下級生にはニコリともせず 大人数で群れたりもしない
バレー部の部室の前に来ても 中塚さん以外と話す姿を見た事がない
外野には全く感心はないと言わんばかりの立ち居振る舞いで
近寄り難い存在だった
そんな久美さんに憧れる女子は俺のクラスでも少なくなかった

中塚さんに頼まれ カメラのシャッターを切る
咥えタバコで顎を突き出し 眉間にシワを寄せ 久美さんの肩を抱く姿
3回ほどシャッターを切って カメラを戻すと

「安達来い 一緒に撮るぞ」

中塚さんは肩に腕を廻し 頭に手を乗せピースをした
「もう一枚」と言って 今度は背後から俺に負ぶさるようにして
肩に顎を乗っけてきた
久美さんは 笑ってシャッターを切ってくれた

「あんた達 兄弟みたい」












蝉の声が止み 外灯の明かりに虫達が集まり出す時間に
俺と啓輔は歩道橋の階段に座り テニス部の女子が
校門から出て来るのを待ち伏せした

目当ては 松田と井口

俺と啓輔は女子に告白する 一大決心をしたのだ

「やべぇ 緊張してるっ」
「俺もっ」

「振られたらどうするよ!?」
「松田はヒロの事を好きだと言ってたんだから
 ヒロは大丈夫じゃねぇ!? 問題は俺や!!」

「啓輔はカッコえぇから大丈夫やろ」
「学年で何番目に?」

「俺の次だから・・・ 2番目(笑)」
「よく言うよっ 俺が1番やろ」

「啓輔が もし振られたら 俺が付き合ってやるから」
「絶対に付き合えよ 毎日尺八して貰う(笑)」

「啓輔 尺八されたことあるんか?」
「まだない 自分でやろうとしたけど届かんかった(笑)」

テニスラケットを肩にかけた女子達が次々と校門から出てきた

じゃんけんの三回勝負で負けた啓輔が 松田と井上を呼びに行き
俺と松田 啓輔と井口 それぞれのペアに別れて歩道橋の上で告白をした












友情と愛情を秤に乗せたなら 友情が沈む
いや 友情と愛情という表現はだいぶ大げさだ

友達と彼女

友達と彼女を秤に乗せたなら 友達が沈む

テニス部の松田と付き合うようになったものの
抱きしめたい感情も キスをしたい願望も
Hをしたい欲望も 何も起こらない
松田といるより 清水や啓輔と遊ぶほうが遥かに楽しいと思った
デートなるものを2人きりでなど とてもする気にはなれず
啓輔カップルとのワンセットでならと出かけた

人 人 人で賑わう夏休み最後の日曜日の動物園
サル達にソフトクリームを見せびらかし からかった
一斉にこちらを見てるサル達が 可愛くて俺達はげらげらと笑った

クリームの部分を食べ終わった啓輔は コーンをサル山に投げ入れた
そのコーンを奪いあう熾烈な争いを見て 4人で笑い転げ
俺も松田も井口もそれに続き コーンを投げ入れた

木の上で逃げ場を失った子ザルは ションベンをちびり
大人のサルに手にしてたコーンを奪われる
コーンは粉々になり地面に落ち 下に居た何十匹ものサルたちが
器用に粉を拾って食べた

そこに飼育係りがやってきて 思い切り怒られて
その場から4人で全力で走って逃げた

俺は松田の手を自然と握っていた






夕方 皆と別れた俺は 町の中心へ向かってペダルを漕いだ
週に一度はどうしても母に会いたかったのだ
いつもは昼に訪ねて行くのだが この日は動物園に行ったことで
時間が遅くなった 電話をかけておけば良かったと後悔しながら
母の喜ぶ顔を見たくて ペダルを一所懸命に漕いだ

「昼に来ると思って 筑前煮と高菜の油炒め作っておいたけど
 今食べると 夕ご飯が食べれなくなるだろうから
 スイカだけでも食べて行きなさいね」

台所でスイカを切ってくれてる母の背中を見て
安心感や幸福感に包まれる

大きいと思ってた母が 成長した俺の背丈と変わらなくなり
すごく小さく見える

毎週日曜日の昼 母の家で一緒に食事をしていた
突然の離婚で 父親に引き取られた俺は
継母にバレないように 母の家を訪ねていた

母の作ってくれたご飯を食べるのが楽しみで楽しみで
日曜日も部活の練習があるからと嘘をつき
練習着を持って 朝ごはんもろくに手をつけず
朝早くから母の所へ会いに行っていた

継母の持たせてくれた弁当は 近所で飼われてるクロ(犬)にいつも食べさせていた

母の家で夕ご飯を食べてしまうと 継母の所に戻った時に
怪しまれるからと スイカだけ食べるよう言われたが
母の作ったおかずを一口でも口にしたい俺は
どうしても少し食べたいと甘えてせがみ
母は笑って おかずを温めてくれた

「気をつけて 帰りなさいよ」
「うん」

動物園で散々遊び 母にも会え 手料理も口にでき
一日の出来事が嬉しくて 自転車のペダルを漕ぐ足が軽い
いつもの下り坂で ペダルは漕がずに楽をするところを
その日は 漕ぐ足を止めずに速度を速めた

下り坂をブレーキをかけずに 信号のない交差点を直進する
そんな自分の中での根性試しのような 勝負をいつもしていたが
連勝記録は この日でストップした
左から直進してきた車が勝ち 俺の体は宙を舞い 地面に叩きつけられた















痛みとショックで気を失ってた俺は
自分が乗ってる救急車のサイレンの音で意識を取り戻した

目を開けると いくつも質問が飛んできた
質問よりも 初めて乗った救急車の中の様子が珍しく
そっちに気をとられていた

意識はしっかりとしていた

「どこか痛いところはある?」
「僕名前は?」「お父さんとお母さんの名前は?」
「学校はどこ?」「担任の先生の名前は?」

次々される質問に ハッキリと答え
どの質問にも 即答したが

家の連絡先だけは どうしても答えることが出来なかった






母の家に行ってたことが 父親や継母にばれてしまうからだ














幸いにも打撲だけで済んだ俺は 医者にも警察にも
家の連絡先を教えることだけは拒み続けた
どうやってここから逃げ出そうか その事ばかりを考え
左腕に巻かれる包帯を見ていると 担任の先生が病室に入ってきた

女性の担任は母親と同じくらいの歳のベテラン教師で
キビキビとした口調で生徒を叱る 貫禄のある先生だった
その先生が俺に駆け寄って 心配そうな表情で
大げさなくらいに 体の心配をしてくれ
意外な一面を見れたことで つい笑いそうになった
 
家庭訪問で家に来たことのある先生でも
家庭の内部事情までは知らないだろうと思い
先生に全てを話し お願いをした

「家には連絡せんでください」

先生は目に涙を溜め 泣きながら俺を抱きしめてくれた

「先生 痛いっ」










学校には緊急連絡網というものがあり
事故等があった場合などは
必ず保護者に連絡が行くようになっていて 既に連絡は行っていて
今こっちに向かってるだろうと聞かされ 俺は観念した

母親のところに行ってた話を 誰にもしないで欲しい
継母や父親が来ても帰らないで一緒にいて欲しい
その二つの俺の頼みを 担任は快く頷いてくれた








父親は姿を見せなかったが 俺の無事を喜んでくれた継母に
先生もいる手前 お母さんという言葉が口から出た
ねぇ とか あのぉ とかではなく 女性をお母さんと呼んだのだ

継母と担任が 学校での俺について話しをしている
授業中のおしゃべりがどうだとか 知能テストの結果が良かっただとか
母親の事について話が及ばないかどうか聞き耳をつい立ててしまう

警察官との話も終え 担任とも別れ 継母と2人で乗ったタクシーの中で
「ケガが大した事なくて 本当に良かった」と言われて
俺はコクッと頷くしか出来なかった
母のところに行ってた後ろめたさや 心配をかけてしまった申し訳なさ
お母さんと初めて呼んだ照れくささ それらの色んなものが交り合って
口を開けずにいた










「お腹空いたでしょ? すぐ作るからね」

台所に立つ継母の背中を見て 声にならない「ごめんなさい」を
何度も何度も心の中で呟いた

作ってくれた食事を一緒に食べながら 継母が言った

「お父さんには 学校からの帰りに事故に遭ったと言いなさいね」




継母は



全てを察していた



事故に遭った場所を



警察官から聞いたのだろう



味を感じなかった家での食事が



この日とても美味しく感じた













継母を


    お母さん


          と呼ぶまでに




要した時間 三年と五ヶ月















この人も 俺を愛してくれていた














呼び方も    


    接し方も


         甘え方も


              分らず 




過ごしてきた時間 三年と五ヶ月

















翌日 脳波の検査をする為


継母に連れられ大きな病院へ行った





結果 何事もなく 











左腕の傷だけを残し 俺の夏休みが終わった
































【 08) 沈んだ太陽 浮かぶ月 】 へ続く 


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この記事のコメント
夏の終わり ~後記~
中学一年の夏休みは 今の一年に相当するほど
濃厚な毎日でした

一日一日が新鮮で 小さなTRYを何度も何度も積み重ね

間違えたり 回り道したり 虚勢を張ったり 大きく見せたり

そんな事のひとつひとつを

成長というのだと 今は思います

で、あれば 大人になった今でも

間違えたり 回り道したりする事を

卑屈に思うことはないんだと 書きながら思うことができました






交通事故に遭ったのは これを数えて3回です

ケガはよくしたほうですね

今も頭部に 縫った後の傷が2~3本はありますね(笑)
坊主にすると 周囲に怖がられてしまいます
(俺は怖くはないですw)


ネタバレになるかも知れませんが・・・・

この後にまた救急車に乗る事になります
交通事故ではなく 単独事故ですが

詳細を書いてしまうと 同じ学校だった人に
バレてしまうかも知れませんので
記事にはしないと思いますが

その事故は 今回とは違ってかなり重症でしたね

意識不明で ICUに・・・・
何日 意識不明だったんだろ?

何度も死にかけて こんなにピンピンしてるのは
よほど 悪運が強いのだろうと 自分でも思います

だからクジ運が悪いのかも知れません






継母に お母さんと呼ぶまでは 長かったですね
病室で担任の先生の前で言ったのが最初です
三年と五ヶ月もかかったとは
何とも ひねくれたガキでしたね

・・・と笑えないのは
俺は 今でも ガキだからです



G@TEN
2007-02-24 Sat 11:09 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
お母さん
継母さんには 弟さん やら 妹さん は できなかったんだね…
継母さんも 寂しかったのかもしんないね…
優しい女性だったのは 想像できます
優しいが 適切か わかりませんが 面倒見が
いいというか 世話好き 母性 そのものなのかも
しれませんね! 継母さんも お元気なんでしょうか?
幸せになって おられると いいですね!
2007-02-24 Sat 15:17 | URL | たく☆ #-[ 内容変更]
To.たく☆さん
弟とか妹が もしも継母に出来てたら
きっと俺はもっと苦しんでたなぁ

>継母さんも お元気なんでしょうか?

20歳の成人の日に撮った写真を同封し
感謝の手紙を書いたのを最後に
もう連絡はとっていませんねぇ

>幸せになって おられると いいですね!

ありがとう たく☆

俺も そう思います

G@TEN
2007-02-24 Sat 15:31 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
>20歳の成人の日に撮った写真を同封し
>感謝の手紙を書いたのを最後に
>もう連絡はとっていませんねぇ

これで充分なんじゃないかなぁ~
2007-02-24 Sat 22:59 | URL | バシ #-[ 内容変更]
To.バシさん
成人したという お知らせで
返事は来ませんでしたからね(笑)
別々のレールですね


--------------


夏の終わり って キュンって今でもなります

G@TEN
2007-02-25 Sun 22:12 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
G@TENさん、お久しぶりです♪

中学時代のお話、なんだか読んでいると
自分まで中学生になった気持ちなれちゃいます。

これからどう展開していくのか楽しみです☆
2007-03-01 Thu 14:51 | URL | ケロ #gHg27oCw[ 内容変更]
To.ケロさん
わお!!ケロさん どもお久しぶりですw
お元気でしたか!?

私はどうやらインフルエンザかもです
いきなりの高熱に二日ほど寝込んでました

高熱の影響ですかね
今も左目が腫れています(涙)

花粉症の症状かと思っていたのに・・・

近々またお邪魔しますね^^

G@TEN
2007-03-03 Sat 09:58 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
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