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08) 沈んだ太陽 浮かぶ月
2007-04-17 Tue 07:06
GBr
07) 夏の終わり からの続きです





諦めの鎖を切る時には

大きくて頑丈な硬い刃物ではなく

残酷なカミソリの刃 それ一枚でいい

残酷であればあるほどいい

生半可な優しさや 遠まわしな配慮は必要としない

だから どうかお願いです

どうぞ俺にも 残酷なカミソリの刃をください






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「ヒロ おはよ!」
「あっ久美さん おはようございます」

「写真出来たから 放課後 部室においでよ」
「ハイ ありがとうございます」

「相当可愛く写ってたよぉ」
「本当ですか?」

「私がね(笑)」
「(笑)」

階段の踊り場で久美さんに 夏休みに撮った写真が出来上がったから
取りに来いと話しかけられた

先輩が絡んでくれるだけで嬉しいのに
相手が久美さんだと尚更
なのだが 俺は その久美さんに嫉妬していた

朝のチャイムが鳴り 教室に滑り込む





二学期が始まり 席替えによって後ろにいた啓輔が今度は前に居る
変な感じだが チョッカイを出せる立場になって楽しい

「啓輔っ ホクロとHした?」

ホクロとは二人で決めた隠語で井口のことだ
松田はなぜかキノコとなっていた

「まだ(笑) でもキスはした」
「マジか!?」

「おぉ マジ! お前も早くキノコとキスしてやれ」
「・・・・」

こいつ 俺がキスしてないこと知ってる
松田が井口に喋ってることを 井口が啓輔に喋ってる
してやれって どういう意味だ!?
松田がキスを待ってるのか?
変な勘ぐりをしながら そのことで授業が身に入らない

松田を昼休みに呼び出した
ベランダで二人が並ぶだけで 周りに冷やかされるから
中庭へ降りた
歩きながら どう話せばいいものかをアレコレ考えた
考えて 考えて 考えたが いよいよ時間切れだ

「松田 俺とキスしたいん?」
















「ヒロいいよ中に入っておいで」

女子バスケ部の部室内はほのかにイイ匂いがした
香水だかコロンの匂いだ

「はい あんた達 やっぱり兄弟みたいやね」
「そうですか?(笑)」

渡された写真は中塚さんと撮った二枚
中塚さんに顎を乗せられて くすぐったがってる俺

「久美さん 僕が撮った写真も見せて貰えませんか?」

尖がったポーズをきめてる中塚さんの写真を見て
どうしてもこの一枚を欲しくなった

「これも記念に貰えませんか もちろんお金払います」










部活の練習後 啓輔は井口と帰り 俺は清水と帰る

「今日は松田と帰らんのか?喧嘩でもしたん!?」
「いや 別に」

「!?
もしや振られたんか?」
「違う 振られとらん
清水は好きな女子はおらんのか?」

「彼女かぁ 欲しいなぁ」
「彼女出来たら 何したい?」

「オメコ(笑)」

笑えない

啓輔も清水も中塚さんも
何でキスとか尺八とかオメコとかがしたいんだ?
俺は ちっともそんなんしたない したいという感情がちっとも湧いてこない
手を繋ぎたいとも思わない
一緒に居たいのは 松田じゃなくて 啓輔や清水や中塚さんだ
女子と遊んでも ちっとも楽しくない 二人きりになるのはむしろ苦痛に近い










「ご馳走様でした」
「今日は ようけ食べたねぇ」

「おばちゃんのご飯は 本当に美味しいです」
「ありがとうね ヒロくんだけよ
ウチの三人の息子は ちっともそういう言葉を言ってくれんけぇね(笑)」

「母ちゃん 今日ヒロ女の子に振られたけん ヤケ食いしたんよ」

清水が茶化す

「ヒロ君 振られたんね? 振った女の子はバカやね」

清水のお母さんはどこまでも味方をしてくれる

「振られたんじゃないんです」
「じゃあ いっつも一緒に帰っとって 今日は何で帰らんやったん?」

清水の質問で 親子の耳が用意された
キスしたい?と聞いたら 走って立ち去られギクシャク中とは言えずに

「飽きた」と一言 答えた

清水とお母さんは大笑いした
俺も二人の笑い声で つられて笑った

飽きたのは まんざら外れてはいなかった






「おばちゃん ご馳走様でした」
「明日も新聞配達頑張ってね」

「はい 頑張ります
じゃあ 清水また明日」
「おう 気をつけてな」









誰も居ない部屋に戻り
埃を被ってた写真立てから風景写真を取り出し
写真立てをピカピカに磨いてから尖った中塚さんを飾った
久美さんには申し訳ないが 久美さんの顔はマジックで塗りつぶした

俺と中塚さん二人で写った二枚は 新しいアルバムを購入して貼るまで
英和辞書のLOVEのページに挟んでおくことにした
















「私からじゃないからね 預かってきたの ちゃんと読んでね」

何日か過ぎて 井口に呼び出され手紙を渡された
背中を向けて歩く仕草で 怒ってることが理解できた

封を開けるのに 1日かかった
おおよその見当はついていた
この前の一件のことだろう 直接渡しに来なかったのは
俺に近寄りたくないんだろう そう解釈した

少女趣味な封筒を開け 取り出した便箋三枚に丸文字がビッシリ並ぶ
ところどころ 丸文字を読むのに苦労したが
内容は 一言で言うとこうだ

[ 私のこと好き? ]

困った質問だった
なぜなら 嫌いじゃないからだ

何て答えれば・・・
ぴったりはまる日本語がない

キスの事に関しては一言も触れていない
伝書鳩のように利用して申し訳ないが
翌日 井口に返事の手紙を託した











土曜の練習が早めに終わった俺は啓輔と清水とゲーセンに行った
溜まり場と化してたゲーセンには 中一の部隊が数名いた
先輩の顔もチラホラ見える
が 中塚さんの顔はない

ゲームで得点の低い奴にタコヤキを奢らせる勝負を8名でする
タコヤキは8個入りだ 2個食べるために 下位2名が負けとなる熱の入るバトル
1人終わる度に7人でどよめく

結果 俺と清水は仲良く1箱ずつタコヤキを購入し
残りの6人にふるまった
餌に群がるピラニアのようにあっという間に
6個が消え 残った2個を俺と清水で悔しながら頬張る
負けても こんな遊びが楽しい時間だった
松田と遊ぶより全然楽しい
別れようと書いた手紙を渡した俺は本当に楽しかった
男に求められる女子からの期待という ややこしいものが消えたのだ
もっと早く別れてればとも思った
最初から付き合わなければ良かったとも思った
いずれ啓輔の耳にも清水の耳にも届くだろう
今は黙っていよう この時間を思い切り楽しみたい



















毎日 同じことを同じ環境で繰り返しているように見えて

実は環境は徐々に変化していっている

砂時計のように 刻々と状況は変わっていく

変わっていってる事に いち早く気付く人間は賢い

変わった事に あとで気付くのは 凡人だ

俺は超凡人








「安達 今晩来るか?」

久々に中塚さんから 夜遊びのお声がかかった
今日を最後にシンナー遊びをやめるとの事
いわばシンナー卒業の日
何故この日を卒業と選んだのかは分らないが
来るかと誘われて俺は尻尾を振った

チャリの後ろで立ち乗りする中塚さんを肩で感じながら
俺はわざとゆっくりペダルを漕ぐ
前回と違いTシャツ一枚ではとても寒くて耐えられない
スタジャンのポケットには空き缶が既に用意されていた

三角公園は久しぶりだった
雲が多く月の見えない夜ではあるが
ベンチやトイレの明かりを見ると 期待が大きくなる
この公園で 俺は人には言えない 汚いことをした

缶に注がれたトルエン缶を俺に差し出し
ニヤッと笑う中塚さん

多分 俺は中塚さんとなら 銀行強盗でもやっただろう

この人は 自身の魅力を承知だろうか?

この人は 自身の影響力を承知だろうか?

悪魔に魅入られたように 左手は缶を握りにいった
俺は今日 抑えてたものが溢れ出すかも知れない
部屋に飾ってある中塚さんを毎日見る
俺の気持ちが声になって出るかもしれない

トルエンが 普段言えないことを言わせてくれるなら
喜んで そのチカラを貸して貰う

中塚さんが吸うよりも早く 缶に口を持って行き深く呼吸する












キ タ・・・ カ ン キ セ ン ノ・・・・ オ ト

横を見ると 中塚さんも深く吸い耽ってる

少し チカラが抜け トロンとした状態で目を閉じ 更に吸い耽る

この脱力感が 続くと 時間の感覚が分らなくなる

時間を確認しておこうと 目を開け公園内の時計塔を見る

「!」

人影だっ!

錯覚じゃない こっちに向かって誰か来る

「中塚さんっ!!」

缶を取り上げ 人が来たことを知らせると
中塚さんは 目を凝らし その方向をジっと見ている
俺は 缶を両手に持ち 逃げのスタンバイをした
中塚さんの目線の先と同じものに目を凝らす
警官ではない 制服ではないし帽子を被っていない

「政ぁっ」

女性だ

「!!」

中塚さんが応える

「おぉっ 上がって来い」

アスレチックジムの真下まで来て誰だか解った
こっちを見上げてる女性 久美さんだ

驚いた 血の気が引いた
久美さん来るなんて 聞かされてなかったから余計だ
道理で中塚さんの落ち着き様
ほろ酔い気分はすっかり冷めた

「シンナーやっとったん!?」
「あぁ」

タバコに火を点けながら 中塚さんが答える

「こらっ ヒロっ!
あんた 何しよん まさか一緒にシンナーしてないやろうね」
「ごめんなさい」

「この人と遊んだら駄目よ 悪の道に引き摺り込まれるんよ」
「はい」

「(笑)私みたいに」
「・・・・」

「早く私にも頂戴(笑)」

中塚さんと久美さんは顔を合わせて
俺をからかって笑い声をあげる

本当に驚いた まだ心臓バクバクしてる
二重三重に驚かされた 久美さんもシンナーやるんだ
意外だった

空き缶を水ですすいで 久美さんの分を用意した

「ヒロにさせたら駄目やん」
「バカ 安達がどうしてもって言うから嫌々分けてやったんや」

「嘘ばっかり 本当?ヒロ」

言葉に詰まる その顔を見て嘘だと察してくれた

「今日が最後だかんね ヒロも 政も」
「おめぇもな」

「私は 元々シンナー好きじゃないもん 歯が溶ける
私こそ嫌々で付き合ってるん」
「はいはい」

月の出てない公園で ギャァギャァとふざけて
ようやく 三人の口は 缶に集中しだした

俺としては 予想外な展開で
もぉ 半分ヤケクソだ
久美さんには敵わない





中塚さんと久美さんはジムを下りて 無言でトイレへと向かった

時計塔の長針が 久美さんが来て二周していた




リピート再生のように アルファベットが通過する
気になって 気になって 気になって
振り払えない

トイレで用を足してるのではなく してるのはHではないかと
頭の中で 戦車の砲撃を何発も食らう

長針を何度も確認して あと5分 あと5分と待ってみたが
確認せずにはいられない

アスレチックジムの高台に缶を置いたまま
音を立てないようにトイレへ近づいた

1歩近づく度に 音がする
その音の正体を確かめる為 そっと男子トイレを覗いた
そこいいるものだと思ったが全ての個室は全開で誰もいない

意識も朦朧とする中 女子トイレを覗く

個室のドアが一つだけ閉まっている

確実に音はそこからしている

中で何が行われているかは分らないが
久美さんが小さな声で喘いでるのは確かだ

何度も再確認をくりかえしたが やはり久美さんが喘いでる



















ジムの高台に戻り トルエン缶を思いっきり下に放り投げた



寝転がって空を1人見上げる





嫉妬に満たされ 悔しさで涙が出そうになった





雲の隙間から 月が顔を出した













あの 月









俺じゃない



















太陽に照らされて輝くあの月



















俺じゃない

































俺の太陽
















沈んだ





































































09) 中学生事情 】 へ続く 

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<<07) 夏の終わり | 新宿タワー~ゲイとノンケと時々オンナ~ | 09) 中学生事情>>
この記事のコメント
相手が久美さんだったからだよ。

「俺の太陽、沈んだ」って気持ちは、
この時の生々しい気持ち??
それとも今でもそう思うの??

それにしても、記事と記事の間がこんなにあるのに、
ストーリーのリアル感がすごい。
思いつきや、勢いで書いてるのではないのだなと、
あらためて感じました。



2007-04-17 Tue 14:28 | URL | バシ #-[ 内容変更]
更新しましたねw
バシさんの コメに似てるかも しんないけど
前回から かなりの 時間があったんで どこまで
話が進んでたんだっけ 解るかな と思いながらも
読み進んでみたら 意外や意外 画が浮かんできました
毎度ながら 清水君のお母さんの風貌 勝手なイメージですが
頭巾かぶって 白の割烹着 で ヒロくんを 見つめてるの
ゲーセンでの はしゃぐ姿 ゲームに負けて たこ焼きを
頬張る画も 不思議なくらい イメージできるんですw
中塚さん どうして 久美さん 誘ったんやろ?
いつもの流れやったら また フェラのはずやったのに…
2007-04-17 Tue 21:57 | URL | たく☆ #-[ 内容変更]
レス×2
~~~~~To.バシさん~~~~~
当時は太陽が沈んだという詩的な表現はとても出来ませんでしたね
沈没とか撃沈とか木っ端微塵のほうが近かった気がします
今 思い起こすと 正に 沈んだ太陽ですね
この表現以外は思いつきません


>ストーリーのリアル感がすごい。
>思いつきや、勢いで書いてるのではないのだなと、
>あらためて感じました。

何と勿体無い言葉を^^;
ありがとうございます

気がついたら 3月は一度もUPしてないんですね
時間の過ぎる速さは非情ですね
とても ついていけてません


G@TEN

~~~~~To.たく☆さん~~~~~
>更新しましたねw

・・・ですねw

>画が浮かんできました

それは光栄の極みです

中塚さんは久美さんのものですから
俺が呼ばれたほうが 不思議です



初恋になるんでしょうかね
こういうのでも(笑)

G@TEN


2007-04-20 Fri 09:22 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
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