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10) 咬めない牙
2007-04-20 Fri 08:49
GBr
09 中学生事情 からの続きです





咬むことだけを夢見てた牙がスルリと抜け落ちた

咬んで抜け落ちたのなら 戦士を埋葬するように土を被せただろう

咬まずに抜けた牙は 土の上で横たわり無様な姿を見せている





あまりの呆気の無さに 心に大きな風穴が開く

その風穴から精気みたいなものが少しずつこぼれていった






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「ヒロくん・・・お父さん出て行っちゃった」





出て行った?





ヤツが?








出て行った!?













アイツが消えるのを願っていた

家に帰ってこないことを望んでいた

死んでくれても一向に構わない

そのヤツが出て行ったとういうのは
俺にとって泣くべき出来事ではない

でも お継母さんが





泣いてる













出て行ったとは どういう意味だ?



出て行っちゃった と言われて
何と返せばいいのかわからない

良かったね ?

嬉しいね ?

残念だね ?







「昨夜の喧嘩?」
「そうね やっぱり起こしちゃったのね
ごめんね」

大人の事情に 中ニの俺が どこまで関与すべきか
帰ってきて欲しいとは 微塵も思わないのに
お継母さんを なだめる言葉を選んでしまう

「また しばらくしたら帰ってくるんじゃないの」
「うううん もう帰って来ない」

「本当に?」
「本当よ」

「帰ってくるかも知れないやん」
「・・・・」



アイツが出て行った!?


頭の整理がつかない


本当に帰ってこないのか!










アイツが・・・



アイツが出て行った・・・











この日 継母は夜遅くに外出した

俺は

今夜も

また 眠れない















屋上で全ての星を数え終え

昨夜 継母の寝室で何が壊されたのか

確認する為 寝室をそっと覗いてみた

鏡台の鏡が欠けていた

アイツらしい





出て行ったんなら
それでいい
どの道 いつか追い出してやりたかったのだ

牙が成長するのを待たずして
アイツが消えた

喜ばしいことには違いない




けれど 継母の事が気の毒でもあった



































ない!



ないっ!!






どこにもないっ!!


おかしいっ!!
この場所から動かす筈がないんだ



まさかっ・・・















継母が帰ってきたのは明け方近くだった

「もう起きてたの?」
「寝てないん」

「寝てないの?どうして!?」
「お継母さん 通帳と印鑑知らない?」

「ないの!?」
「うん 全部調べたけど どこにもない」

「・・・・・」
「・・・・・」

「・・・お父さんね」

あり得る
アイツなら やり兼ねない

最悪だっ
殺してやる
ぶっ殺してやる

「幾ら入ってあったの?」
「60万とちょっと」

「明日 銀行に行ってみましょ」
「うん」

目の前が真っ暗になった

新聞配達を始めて 皆勤手当てを逃した事がない俺は
この日 初めて配達を休んだ

学校にも行きたくない気持ちを 継母は察してくれ
休みの連絡を入れてあげるから
とにかく寝なさいと言われ
言葉に甘えて布団に潜った
























「突然で 本当すみません」

何もやる気がしない
脱力感や虚しさやら歯痒さやら悔しさやらが
俺を占拠した

もう どうでもよくなった
戦争にでもなればいい
今なら100人でも1000人でも殺せる

俺の夢とか希望とか詰まってた通帳が
0になっていた

朝刊の配達を終え
所長さんに頭を下げた
どうしてなのかと聞かれ
受験勉強ですと答えを繕った

受験?そんなものも もうどうだっていい
何よりもアイツを殺す銃が欲しい

期末試験の答案用紙は全て白紙で出した































担任と教頭が並んで座る相談室で
重苦しい空気が流れる

この人たちは俺の味方じゃない
アイツと同じ敵だ
この二人も 俺を窮地に追いやる

何で理由が知りたいんだ?
知ってどうする?

人の家の家庭事情をオマエらが知って
何をしてくれるんだ

クソ親父を見つけ出し 盗まれた金を返してくれんのか?

「どうして 何も書かなかったのかね?答えなさい!」
「解らなかったからです」

「解らなかった?
今が大切な時期だというのに
君は名前も書いてないじゃないか」
「・・・・・・」

「理由を言うまで 帰しませんからね」
「・・・・・・」

「君は出来ない生徒じゃないじゃないか
中間テストだって全教科が平均点を上回ってるし
一体どうしたのかね」
「・・・・・・」

「先生 安達君の保護者に連絡をとってください」
「(!)先生っ もし家に連絡したら 二度と学校に来ません」

「じゃあ 理由を言いなさい 理由を」
「解らなかったからです」














相談室から出れたのは理由を話したからではない

日が沈んだからだ

禅問答のようなやりとりは月曜日に持ち越しになった

相談室を出たところに バレーの練習を終えた清水に待ち伏せされていた












「ヒロ どうしたん?何があったん?」
「・・・・・・」

暗くなったグラウンドの隅で 座り込んだ
何も言う気はない
何も言えない

「俺 何かした?」
「・・・・・・」

「なぁヒロ 何で何も話してくんないん」
「・・・・・・」

「何か言ってくれよ」
「・・・清水
俺・・・部活辞める」

「マジで!?
なぁ 一体何があったんや?
俺にも話せないんか!?
新聞配達も急に辞めて 部活まで辞めるって・・・」

学校も辞めれるものなら 学校も辞めてやる

「なぁっヒロっ!」
「しつけぇなぁ 殺すぞ」

「殺せよっ」
「冗談で言うとるんやないぞ」

「早く殺せ」

立ち上がり 清水の体を 思い切り右足で蹴りつけた

倒れた清水に跨って 二発 三発と 顔面を殴った




清水は 殴り返してこない








それが 俺を余計惨めにした









下にいる清水の胸に額をつけて 何の涙だか解らない涙が

堰を切ったように流れ出す




涙が涙を呼び ボロボロ ボロボロ 止め処なく涙を流した

殴られた清水じゃなく 殴った俺がボロボロ泣きまくった

清水は俺の肩に手をかけてくれ

泣き止むまで その手をどかさなかった







鼻水を吹くハンカチもなく 中塚さんに貰った制服の袖は
鼻水と涙でグチュグチュになった

清水の背中もズボンも土で真っ白に汚れた

その背中をパンパンたたくと
清水は「ありがとう」と礼を言ってるのに
俺は照れくさくて ごめん が言えない

「何で 何もせんのや(殴り返さないん)」
「えっ?殴ってよかったん!?」

「あぁ よかった」
「じゃあ 今から続きやる?(笑)」

「なぁ 清水 今日 家に泊まりに来いよ」
「おぉっ 初めて誘ってくれたな」

「来る?」
「行く! 家で飯食ってから行くよ
風呂は ヒロん家ではいれる?」

「入れる」
「分った じゃあ速攻行くから」

別れた清水の背中が消えるのを立ち止まってずっと見ていた

どこにもいないと思ってた味方を見つけた気がした
申し訳なさと感謝の気持ちと嬉しさが共存し
清水の背中が
真っ暗な回廊に灯されたロウソクのように感じた

継母と一緒に住むようになって
誰も家にあげた事はなかった
家の中を覗かれるのが嫌だった
人に見せられる家庭事情だとは思っていなかったからだ

運動会や父兄参観に来た継母を
先生以外は 本当の母だと思っている
ヒロのお母さんは 若くてキレイだと皆が羨んだ女性は
本当の母ではない
その事が 俺に重く引っかかっていた

若くてキレイなのはクラブ勤めだから当然だ
和服を着ているほうが多いプロなのだから














「よっ」
「よっ あがれよ」

「お邪魔しまぁす」
「いいよ 遠慮しなくて 誰も居ないから」

「キレイな部屋やなぁ まだ新しいなぁ
ヒロん家 金持ちやん」
「そんな事ないよ」

「おかんは?」
「仕事 クラブやから夜中にしか帰ってこん」

「だから あんなキレイなんや」
「誰にも言うなよ」

「分かった」
「何か飲む?」

「カルピス」

清水は少し緊張しながら リビングの隅々まで具に見ながら
部屋を見せて欲しいと言ってきた

中塚さんの写真を片付けた部屋に清水を入れた

「初めて人を入れる」
「啓輔も来たことないん?」

「ないな(笑)」
「へぇ~っすっげぇ 部屋にTVあるやん」

「風呂入れよ
親が24時過ぎには帰ってくるから
その前に」
「ヒロは?」

「俺も後から入るよ」
「一緒に入ろうや」

清水と風呂に入るのは初めての事ではなかったが
自分の家の風呂で二人で入るのは変な感じだ

銭湯のような裸が当たり前の場所なら
何度も一緒に入ったことはあるが
家庭の風呂で二人というのは
空間も狭く変な感じだったが
入ってしまえば何のことはなかった

頭を洗う清水の左腕が 赤く腫れていた
俺が蹴った箇所だ

「このシャンプー凄げぇいい匂いがするなぁ
痛っ!」

顔にシャンプーの泡が頬にかかり
慌ててシャワーをかけ洗い流す姿を見て心配になった

「しみるん?」
「しみた~(笑)」

「ごめんな 今日は」

照れくさくて言えなかった ごめんがやっと言えた

「えぇよ あんなへなちょこパンチ 全然効いてない(笑)」

狭い湯船の中に二人で入り 向かい合う

「清水 優しいな」
「今頃解ったか 遅ぇよ(笑)」

「今日は全部話すな」
「全部聞く!
当然やろぉ 俺には言えよっ!
そうや!おかんからスイカ持たされとったんやった」
「そか ありがとう 上がったら食べよう」

清水の存在をどこか軽んじていたことを反省した
こいつは信用できる 信用していいんだ
腹を割って話せる友人を1人も持たなかった俺は
清水に全てを話すことにした


















スイカも食べ終え
二つ並べて敷いた布団の中で
これまでのいきさつを清水に話した

「そっかぁ・・・
ヒロん家も 俺んとこ以上に複雑やったんやなぁ
けど 部活は辞めんなよっ
俺も啓輔も 他の奴らもヒロが居ったからバレー部入ったんやぞっ
ヒロ辞めるのは汚ねぇよっ」
「・・・そうやね ・・・うん 解った 続けるよ」

「そう こないと
でっ月曜はどうするん?また呼ばれてるんやろ相談室」
「ひたすら謝るよ もうしませんって」

「親父は見つからないん?」
「継母もあっちこっちに電話して探しとるよ
それでも 居場所が分んないって
そらそうやろ 継母の金も下ろしとったんや あのクソ」

「マジで!?」
「だけど 他の銀行にもいくつか分けて預けてたから大した事ないって言うとった」

「ヒロ どうなるん? このまま二人で暮らすようになるんか?」
「いや 分らん・・・ どうなるんやろうなぁ・・・」

「俺ん家に来いよっ おかんも喜ぶ」
「ははっ ありがとう いざとなったらお願いするよ」

「あんなぁ ヒロ
今まで話してなかったけど
俺が一年の時にヒロを焼却場で殴ったことあったやろ?」
「あったなぁ 今でも痛い 鼻折れとるよ(笑)」

「あん時な 俺 中塚さんに絞められると思って
転校したいって おかんに泣いて頼みこんだんよ」
「中塚さんを知らんかったんやろ?」

「知ってたら ヒロの舎弟になっとるわ」
「ははっ」

「それでなっ 中塚さんに絞められるどころか
逆に 可愛がって貰えるようになったやろ
ヒロのお陰やんね」
「大袈裟」

「いや マジで
それで いつかヒロに恩返しをせなって思ってたんよ」
「やっぱ 大袈裟やんか
清水には もう十分して貰ったよ」

「おかんが言うとった」
「何て?」

「土下座してでも その子に友達になってもらえって」
「土下座?しとらんやんか(笑)」

「今しようか?」
「冗談だよ 俺がしたいよ お前に」

「だから俺のおかん ヒロの事大好きなんよ」
「うん おばちゃん本当よくしてくれて 俺も大好きや」

「俺らは 友達か?」
「うん 友達だっ!
・・・恥ずい事 言わすな」

「じゃぁ 好きって言えっ(笑)」
「そら ないっ」

「今日 ヒロが泣いたの初めて見たやんかぁ
俺も何か泣きそうになってん」
「恥ずいとこ見せたなぁ」

「恥ずかしがらんでえぇやんか
胸がキュンってなったで
何か守ってやりたくなった カワイイなぁって(笑)」
「ホモか! 俺に惚れるなよ」

「こないだ言われた 俺とヒロがデキてるんやない?って」
「誰に?」

「福井」
「あの天然パーマの?」

「そう あのメメコパーマ」
「あいつ月曜 教室で絞めたる(笑)」

「優しく抱いてね ヒロくん」
「こっち来るな(笑)」















アラームに起こされ 清水だけが布団から出て朝刊の配達に行った

俺は多少の罪悪感を感じながら 清水を布団の中から見送って
もう一眠りした





















「浩史君 今日ねぇ お母さんと話したの
お母さんは 浩史君が望むんなら また一緒に暮らしたいって」
浩史君もそのほうがいいでしょ?
また 一緒に暮らしなさい 本当のお母さんと」











昨年なら 万歳三唱して 飛び跳ねただろうに

素直に喜べないのは このお母さん役をしてくれる人を

好きになっていたからで

離れたくないとも 願っていたからだ


三人で暮らすことは出来ないのか?

何で そんな世界なんだっ








母親役をどちらか選べなんて

どこまで残酷なんだ

神さんとやらは





神などいやしないと解った

仮にあんた(神)を見つけたなら

俺はあんたを許さない

































「浩史君 元気でね」
「この子をここまで育てていただいて ありがとうございました
感謝しとります」

俺を迎えに来た母が継母に頭を下げた



8月 クマ蝉の鳴き声響く公園を歩きながら

涙がこぼれた

母と暮らすのを夢見ていた その日がとうとう来た

こぼれたのは その感動の涙ではない

純粋に 継母との別れだった

母親から引き離された小4から

思ったことを 喉元で押し返し

感情を表に出すのを良しとせずに

子供を満喫できずに4年以上を過ごしたせいで

継母には 別れるのが淋しいとも伝えきれず

実母には また一緒に暮らせるのが嬉しいとも伝えきれないまま

大好きな母との二人での生活が始まった
















































あんた(神)










このまま 姿 見せないほうがいい



最後まで










































あんた






























殺す
































































11) Platonic...... 】 へ続く


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この記事のコメント
お風呂で 向かい合ってる姿 かわいいね★
中2でしょ まだ かうぃいね よっぽどの 老け顔
以外 多分 かわいい! 
継母さん ええ人やってんね! おとんのこと 好きやったんやね
また ええ人じゃなきゃ ヒロくんのこと 大事にしてくれへんよね!
人生って 険しいね… 
清水くん ええ子やね! 大人になった 清水くんは 今もいい人かな? で あってほしい…
2007-04-20 Fri 16:40 | URL | たく☆ #-[ 内容変更]
To.たく☆さん
いつもありがとうございます。

人間はなかなか鬼にはなれないものです。

が、連日の報道には頭を重くされます。


混乱を招くと思いましたので

タイトルにナンバー打ちました


今後もよろしくお願いいたします。


G@TEN
2007-04-21 Sat 16:32 | URL | G@TEN #qNXjQhIg[ 内容変更]
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